「ペットショップで犬猫の売買やめたら不幸な保護動物が減るんだ!売買をしているペットショップは悪!」
正直この主張については懐疑的です。
私自身はペットショップと保護団体両方から犬猫をお迎えしたことがあります。
そもそもこの件について考えるきっかけになったのは坂上忍さんのSNSでの「「1回生体販売やめてみませんか」っていうのが理想。売買を1回やめて、いま現存している子たちを、お家がある環境に振り分けてあげて。こんなところ(保護ハウス)がなくなる日本になればいい。」という発言からでした。
今回は、ペットショップは本当に悪なのか、ペットショップさえなくなれば保護動物はいなくなるのかという点について意見を述べていきます。
保護動物がいなくならないのは要因にはなにが考えられるの?
避妊・去勢未手術の自家繁殖・外飼い
例えば、溺愛している飼い猫がいたとします。
かわいい我が家の猫の子猫。思わず欲しいと思ったとしてもちょっと待ってください。
猫が産む一度に頭数は平均で4~8頭と言われています。
飼い猫を含めて、子猫全頭のお世話ができますか?引き取り先を見つけられますか?
(画像引用元:どうして猫はセンターに?~あなたの身近にも「猫の多頭飼育崩壊」 【新潟県動物愛護センター】)
実は、保健所への持ち込みの多くは猫の未去勢・未避妊が原因であるといわれています。つまり、産まれすぎてしまったことが原因です。
新潟県動物愛護センターの令和2年度の猫の引き取り理由には64%「繁殖により増えた」とあります。ペットショップからの引き取りの文字はありません。
他にも、1歳の猫がいて1年後には20頭以上、3年後には2000頭以上になっているといわれるほど猫の繁殖力は強いです。
未手術のまま外飼いをしていて、妊娠して帰ってきた。
または、外の猫を知らず知らずのうちに妊娠させて帰ってきていることも考えられます。
猫のロードキルの観点から考えても、人と動物の共立センターの2019年の日本全体の猫の遺体回収数は、推計で『28万9,572頭』でした。環境省から発表されている猫の殺処分数は『2万7,107頭』10倍以上の猫が被害にあっています。
飼い主としての資質を満たさない人への販売をしてしまう
これはペットショップの問題点です。
ペットショップはビジネスです、営利を求めて販売しなければいけません。お客さんは選べません。
現行のままでは問題が発生しやすい体制のためこの辺りは法整備が必要です。
中には生体販売をやめるショップも出てきています。
多頭飼育崩壊をしている人への社会的フォローの不足
多頭飼育崩壊をおこしているお家ってゴミ屋敷だったり、独居老人だったり、本当は解決したいとは思っているがあまりに増えており金銭的に難しい方々です。
犬猫をとりあげるだけだと再発してしまうので、金銭面や精神面、周囲の人間からのフォローなどが必要です。
ここにあげた要因だけでも「個人」「ペットショップ」「(社会的問題のある)個人」が考えられますよね。
ペットショップがなくなれば問題は解決する?
冒頭の意見に戻りますが、こちらに関しては断固として私は「いいえ」だと断言します。
そこまで問題は単純ではないからです。
まず第一に保護動物がなくならないのはペットショップだけの問題ではない点。
第二に、ペットの流通が闇市化するか保護動物が第二のペットショップ”もどき”として機能を代替えされるだけになる可能性が高い点。
冷静になって考えてみて欲しいのですが「医療ミスが起こるのは病院があるからだ。病院が全部悪いから病院をなくそう!」と言っている人がいたとしましょう。
「(何言ってんだこいつ)」ってなると思います。
主語を置き換えてみましょう「保護動物がいなくならないのはペットショップがあるからだ。ペットショップが全部悪いからペットショップをなくそう!」
「(何言ってんだこいつ)」となりませんか。
問題の発生場所の一つかもしれませんが、まずそこに関わる問題や要因をひとつずつとりのぞかないと根本的な解決をめざすのは難しいですね。
日本からペットショップがなくなった場合には何が起こるか
ペットの流通減、ブリーダーの廃業。
ここまではペットショップ反対派の望む通りの展開が起こったとしましょう。
個人のそれよりもあとの展開
雇い主を失ったブリーダーは増えても猫への需要が減るわけではありません。
その代わりとして、素人繁殖が増える可能性があります。
素人繁殖が増えるということは、犬種猫種の知識がない人が掛け合わせをおこなうので奇形や遺伝子疾患がでやすい個体が産まれる可能性が高くなります。
他、大手顧客(ペットショップ)を失ったペット用品業界及び医薬品業界が倒産するリスクや日本から撤退する可能性もあります。
儲からない市場には新商品も来ないですし、わざわざ定番商品を置いてあげる理由もありません。彼らも慈善活動で商売している訳でもありません。
ペット業界は外資系企業が多いため、撤退をされると必ず大打撃を受けます。
もちろん動物飼育の母数自体が減るとお近くの動物病院が倒産するリスクもあります。
現在ペットを飼育している人も対岸の火事という訳でもありません。
「日本のペットショップは遅れている」という意見について
今回の記事を書いてから頂いたお声で「生体販売をやめたペットショップもある」とのお声がありました。
例えば島忠では、陳列販売を廃止して「過去の陳列販売をされていたケージスペースは月2~3回の保護猫の譲渡会会場として利用」「生体販売は店頭でのブリーダーとのマッチングを提案する」など現在の動物愛護を考えたショップの一歩先の販売形態をしています。
現在の「保護動物=ビジネス」ねこホーダイなどについて
「海外では〇〇!日本は遅れている!」とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、大多数の人間は動物福祉・動物愛護の意識はさほど高くはありません。
問題になることがないのでそのまま放置されているのでしょう。
ただ、現代の日本でおこりつつある風潮の方が問題だと認識しています。
例えば、Twitterで話題になった「ねこホーダイ」
サブスク形式で猫をもらって手放せる月額380円のサービス。
こちらはInstagramで流れてきた広告です。
企業名は伏せますが「保護動物=儲かる」と経営者に訴求していますよね。
クリックをするとこんな画面がでてきました。
「保護動物=可哀想・いいことしてる」の図ができています。
今の日本のトレンドは「可哀想」です。
可哀想であればあればあるほど人の感情は動かされて、お金も動きます。
SNSでもボロボロの子猫拾ってバズってお金を集めている人。
収益報告をしない明らかにあやしい保護活動家の方々がいますよね。
「保護動物=ビジネス」のなにがいけないの?
「寄付金に頼らずに運営しているんだからいいことじゃないの?」って思いますよね。
安定して資金があれば保護活動も安定しますし素晴らしいことです。
しかし、保護動物がいることでビジネスが成り立つということです。
裏を返せば、この稼業は”保護動物が常にいなくてはいけない”のです。
保護動物がいなくなってはむしろ生活ができなくなって困るのです。
つまり、保護活動という社会貢献の影で根本的な問題解決を決して望んではいません。
実際問題の解決方法について
避妊・去勢手術の徹底
ペットショップで販売されいる子は「ペットタイプ」という繁殖に向かない個体です。
貰ってきた子たちも同じく望まれていない命を増やさないことが大切です。
これは個人でもできることです。
飼い主の資格制度
現時点は存在しないのであくまで個人的な希望かつ行政・国からの制度整備が必要です。例えば、飼い主講習や資格制度を設けることで敷居をあげます。知識が身につくので、飼い主自身のレベルもあがります。
多頭飼育崩壊への社会的フォローができる行政及び政党の支持
長期戦になるかもしれませんが、平たく言うと選挙に行きましょうです。
市町村への寄付
これも大切です、保護動物に対して手厚く取り組んでいる市町村への寄付も効果的です。
金銭がないと市町村も動けません。
市町村が動けば、国も動くかもしれません。
私はふるさと納税で奈良県の生駒市に寄付を行ないました。
詳しい記事はこちらに書いています。
結論:ペットショップだけが悪ではない。問題を解決するのは個人でもできることがある!
ペットショップを取り締まることだけが本当に問題解決の手段なのでしょうか。
2022年6月にはマイクロチップ装着が義務化されるなど厳しく変わってきています。
昨年度には動物の展示スペースについての法律も変わり、悪質なペットショップは淘汰されていくしかないでしょう。
むしろ、問題を解決する気がない「保護動物ビジネス」を作り出そうとしている人間が今後の障害になえると私は考えています。
保護動物をなくすための問題は複数の要因が複雑に絡み合っていて今があります。
個人の飼い主さん一人一人ができること「去勢・避妊手術をする」「外飼いしない」「終生き飼育をする」です。
ご意見がある方はコメント欄などにドンドンご記載ください!